今回は宮島美奈著の成瀬は天下を取りにいくです
2020年、中2の夏休みの始まりに、幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。コロナ禍に閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが…。M-1に挑戦したかと思えば、自身の髪で長期実験に取り組み、市民憲章は暗記して全うする。今日も全力で我が道を突き進む成瀬あかりから、きっと誰もが目を離せない
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なるほどポイント
- 天才を殺す凡人の小説版のような作品
- あなたは成瀬型、島崎型、それとも?
- 成瀬から学ぶ行動思考術
天才を殺す凡人の小説版のような作品

本書は本屋大賞を受賞しているのでそれをきっかけに読むとハードルが上がりすぎて「おや?」っとなる人がいるのもわかります。実際にレビューサイトで辛口評価が散見されています。私はめちゃくちゃ面白かったので色々な人に読んでもらいたいと思ってこの記事を書いています
私がこの作品を読んで思ったのは「天才を殺す凡人」の小説みたいな作品だなという感想でした。成瀬は論理型の天才肌でやりたいことはとりあえずやってしまうという感じ。それがストーリーとして短編集のように構成されています。天才を殺す凡人と言う表現をなぜしたかと言うと、天才は凡人からは理解されないという点です
成瀬は天才肌が故に何でもすぐこなしてしまい、周りの凡人から変人扱いをされてしまいます。これが行き過ぎるとイジメという形になるのが人間社会です。そこで島崎という成瀬を理解してサポートする通訳の様な存在が必要となるわけです。成瀬に限らず一般的に天才と言われている方は「コミュ力が低い傾向」にあるようです
次に本書に登場する人物をモデルとして私が考えた人間パターンをご紹介します。皆さんも自分がどのパターンにあてはまるか考えてみてください
あなたは成瀬型、島崎型、それとも?

まずは成瀬型は「天才肌」で基本スペックが高く、何でも器用にこなして行動力もあるため実績を残します。世の中の成功者はほとんどがこの型じゃないかと思っています。1~2%くらいの割合かなと思います
次に島崎型は「サポーター気質」で天才を理解し、その成功を手伝うことが出来ます。天才の奇行にも理解を示し、周囲から孤立するのを避けてくれます。目立つのが嫌いな人とかは当てはまるのかなと思います。10%くらいの割合かなと思います
次に大貫型は「秀才」で天才肌とまではいかないですが努力が出来る凡人という感じです。作中に成瀬を理解している人物として大貫が出てきます。私はこの娘の考え方や嫉妬する感じがよくわかったのでこの型だと思ってます。10%くらいの割合かなと思います
最後に「凡人」ですね。特に説明する必要もなく普通の人です。ただ島崎や大貫のように天才を理解できないため、集団で天才を攻撃することがあります。天才が世に出るためには凡人に受け入れられるよう島崎型がサポートする必要があります。80%くらいの割合かなと思います
皆さんはどれにあてはまると感じましたか?それは本書を読みながら自分はこの娘に近い考え方するなと「自己投影読み」すると自己分析しやすいと思います
成瀬から学ぶ行動思考術

本書の批判意見として「再現性がない」というのが散見されます。正直、どの自己啓発書でもそうだと思います。凡人からしたら奇行に見える行動をすれば良いのかと言うと趣旨からは外れます。では読者は本書から何を学べばいいのでしょうか
内容はネタバレになるのであまり言えませんが「100個宣言して1個でも叶えられたらあの人すごい!となる」というセリフから学べると思えます。凡人はとにかくなにも挑戦せずになんとなく毎日を過ごしている人が多いと思います。皆さんは何か挑戦していますか?
少しネタバレになりますが成瀬と島崎がM1グランプリの予選に出る話があります。結果は予選敗退でした。しかし成瀬は「これで一生M1グランプリに出たことがあると言える」と言いました。これめちゃくちゃポジティブで成瀬らしい発言だなと好きなんです。ちなみにわたわたは「2024年の太宰治賞に応募しました」ので一生小説家と言い張ることが出来ます
いかがでしたでしょうか。一人の天才少女の学生時代を見守る小説です。過度な期待をして読んだ凡人さんは何も得ることが出来ずに「本屋大賞もう読まない」とか言ってれば良いのです。私は学生時代を少し思い出せて良かったですよ、とてもオススメな作品です。それでは。