書評

【メンタル】貧困と脳「働かない」のではなく「働けない」シンパパ薬剤師わたわたによる解説 3選

今回は鈴木大介著の貧困と脳「働かない」のではなく「働けない」です

 自己責任ではない!その貧困は「働けない脳」のせいなのだ。ベストセラー『最貧困女子』ではあえて書かなかった貧困当事者の真の姿。約束を破る、遅刻する、だらしない。著者が長年取材してきた貧困の当事者には、共通する特徴があった。世間はそれを「サボり」「甘え」と非難する。だが著者は、病気で「高次脳機能障害」になり、どんなに頑張ってもやるべきことが思うようにできないという「生き地獄」を味わう。そして初めて気がついた。彼らもそんな「働けない脳」に苦しみ、貧困に陥っていたのではないかと

関連する記事はこちらからどうぞ。今回もなるほどポイントを3つ紹介していきます。

なるほどポイント

  1. 貧困女子は育児放棄、虐待などの辛い過去を抱えている
  2. ローン破綻者はうつ病などの精神科疾患を患っている
  3. 脳疲労からくる遅刻の原因はこれ

貧困女子は育児放棄、虐待などの辛い過去を抱えている

 著者は多くの貧困女性達にインタビューを重ね、その生い立ちにある共通点があることを結論付けた。それは「親の育児放棄」「虐待」などの幼少期の辛い体験である。貧困女性は身を売って生計を立てているが、それを著者は「不適切な自助努力」と称している

 そしてこうした貧困女性達は遅刻をする、レジでお金を出せないなどの普通ならできるようなことが出来なくなる傾向があると自身の体験と紐づけて展開されていく。著者も脳梗塞で同じような状態になって、自信を失ってしまった時期があるようです

 こうした実体験に基づいていると説得力がありますよね。本書では周りにいる「無能」と言われている人が実は「脳の疲労」からそうなっているかもしれない。そうした人、周りの人はどうすべきなのかが説明されているので興味深いです

ローン破綻者はうつ病などの精神科疾患を患っている

 貧困女性たちはローン破綻している人もいるそうです。そういう人たちは督促状がきているのにも関わらず、封を切らずに放置しているようです。これも一種の脳疲労なのでしょうか。普通ならいそいで払おうとするか、お金を誰かに借りますよね?

 ただ彼女たちはインタビューに楽しそうに答えている時でも「借金の話になると人が変わったようにテンションが下がる」そうです。話だけ聞くと子供みたいですけど、脳疲労が酷くなるとそうなるんでしょうね

 精神疾患とローン破綻との因果関係の根拠は著者のインタビュー経験しかありません。しかし皆さんこれに納得されるのではないかと思います。「精神疾患=脳疲労ではない」と思いますが、自分も当てはまるかもしれないと思う方は本書を読んでみてください。私の事が書かれていると思うかもしれません

脳疲労からくる遅刻の原因はこれ

 著者の経験からも脳疲労・脳不自由の状態だと遅刻が増えるそうです。それは時間に対して無頓着とか約束の時間を忘れるとかそういうレベルではないようです。時間に厳しい方からしたらなんで?と思うかもしれません。私も読みながらそんなことある?って思いました

 実際は約束に間に合うように前もって準備するそうなんですが「探し物、忘れ物が多い」そうです。そして頭がパニック状態になって気付いたら時間が溶けるように過ぎていくそうです。皆さんはこのような経験はありますか?思い当れば本書を読んでみる価値があると思います

 いかがでしたでしょうか。私は遅刻する人とかを無能と切り捨てる考え方をしがちでした。ただ本書を読んで脳の状態で遅刻しやすい人がいると認識できました。本書でも「できないこと探しより、まだできることを探す」ことが大切とありました。当たり前にできたことが出来なくなる苦しみというのは失った本人にしかわかりません。それをサポートしていく世の中になるために本書が広く読まれると良いなと思いました。それでは。

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